思い出の道

国道360号 天生峠



1991年9月23日 国道360号天生峠にて


 それは突然の事だった。祝日のお陰で9月22日、23日が連休になるので、「どっか行きたいな」と友達に言っていたら、「お前、高山でも行ってこいや」と言われた。受験シーズンを目前に控えた高3の僕にそんなことを言う友達も友達だが、「んじゃ、行ってくっかな」と言う僕も僕である。

 22日の朝に七尾を出発。行きはR160〜R8〜R41と繋いで行ったのだが、R41の神岡町〜古川町に立ちはだかる数河峠(h=896m)がしんどくてしんどくて、「帰りは絶対別の道で帰る!」と思って手持ちの地図を見た。「を、この天生峠ってのを抜ければ近いんちゃう?」。その横にこっそりと書いてある標高に気がつかずに・・・。

 無人駅で目覚めて23日。憎き(笑)数河峠の麓からR360へ向かう道(その時の写真から主要地方道10号と思われる。現在のR471)を曲がり河合村方面へ。
 道はだんだん細くなっていく。「大丈夫なんかなぁ?」と不安になりながらも坂を上っていく。ん!? 坂を上っていく!?。そのうち上れなくなり、押す。押すのもしんどくなり、路肩で休憩。バイクのツーリング集団が通っていく。手を振る。車が通っていく。好奇の目で見られる。それでも上る。仕方がないから上る。ふと頭をよぎる。「もしかして昨日の数河峠よりしんどいんちゃうか?」。

 そりゃしんどい筈である。峠の木柱(上の写真とは別のモノ)には「国道三六〇号 天生峠 標高一二九〇米」と書いてあった。峠付近の駐車場(結構広い)で休憩していると、「さっき道路で寝っ転がってた人ですよね」と声を掛けられる。はいはい、寝っ転がってましたよ(爆)。峠付近には散策路みたいのも有るようだが、とても歩く元気もないので先へ進むことにした。

 ここからの下りで、それまでの最高の65km/hを出したけど、よく考えると危ないよなぁ…。


 その後、車で何度か、バイクでも一回通っているけど、やはりこの時感じた思いは超えられない。



 しかし今思えば、R360を天生峠とは逆方向、富山方面に走れば楽だったんだよなぁ。鉄っちゃんだったくせに、そんなことも思いつかなかったなんて…。

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